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ヒダカノセンセイ

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センセイ.06

THE 骨折とヒップホップ2

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 先日、虹をみました。なんというか…この企画を後押ししてくれるかのような気持ちになりました。
当院webサイトのアクセス数も徐々に増えてきてるとのこと。いろんな人が興味を持ってくれてるのは嬉しい限りです。

さて、今回も遅れに遅れての「ヒダカノセンセイ」。
ということで前回の続きを急ぎます。
▼え〜とどこからでしたっけ…?

そうそう、『骨折治療における4大要素』
●血流
●整復
●固定
●後療法
のことでした。


 この4大要素、それぞれ骨折治療において大事な役割があるのです。
引き続き、ヒップホップになぞらえて説明しますね。
えーと(無理やり)例えてみると…

●1.血流
 → DJ(レコードをキュッキュッやる人)

●2.整復
 → グラフィティアート(壁とかに描かれている絵や文字などでお馴染み)

●3.固定
 → MC・ラッパー(音楽に合わせたおしゃべりや歌で盛り上げる人)

●4.後療法
 → ブレイクダンス(最近は学校の授業にも取り入れられてるとか)

ていうのがピッタリ当てはまる感じがするんですよね。ちょっとわかりにくいですか?
ちゃんと今から説明しますね。




1.血流=DJ

 実は骨の中にはまるで家やビルの柱やはりのように細かい血管が通っています。
そのおかげで、硬〜い骨を構成するための栄養が行き渡るというわけです。
つまり、DJのようにドクンドクンとした血流でホネの成分というビートをつかさどってるというわけ
こう言われると、どうして折れた骨がつながっていくのか、なんとなくわかってくる気がするでしょう?


2.整復=グラフィティアート

 よく映画とかで陶芸家が納得いかーん、って陶器投げつけて壊しているシーンありますよね。あのバラバラを治すのが『整復』。陶芸家の作品だったら、また新しく作ればいいんですが、骨は折れたままだと痛いので治さなきゃいけません。
この話、グラフィティのように奥が深いんですがマニアックなので今回は泣く泣く割愛。

 とにかく言えるのは、私だけでなく整形外科医は『できれば1mmのずれもなく戻したい』という願望を持っていること。これ、すごく難しいのはなんとなく想像できるでしょう。
 だから全国の整形外科医は、すごくいい感じに治すための努力を毎日しています。
限られた手術時間の中でどうやったらいい感じになるか。
これはやはり知識だけじゃなくて、日々の経験と積み重ねからわかってくるんだなー。
なんだかアートと似ているなーなんて40過ぎたおっさんは感じるようになりました。


3.固定=MC・ラッパー

 ラップ、お好きですか?好きじゃなくても『韻をふむ(ヒップホップ的にいうと「ライムを刻む」)』って言葉はよく聞くかと思います。
 『韻を踏む』というのは、『似た響き・母音を持つ言葉を、語尾などの同じ部分で繰り返す言葉の技術』のこと。これをするとインパクトやリズム感が生まれていい感じになる。
  というわけで、ラッパーたちはこれに情熱を燃やしています。ここにセンスの違いが出るんですが、杓子定規に韻を踏むだけじゃなく場面にあわせて、頭韻(言葉の始まりの韻)、脚韻(言葉の終わりの韻)などの技術もうまくつかわないとダメ!ということになります。

……あ、すいません。ヒップホップのスキルの話になっちゃいました。
わかりにくいですか?わかりにくいですよね?え〜と…骨折治療の固定の話でした。


骨折の固定には、主に
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●包帯やバンドを利用した固定
 ギプス固定が困難な部位によく使う

●添え木固定
 器具を添える固定:骨折のずれがそれほど大きくなく、安定の良い場所に使う

●ギプス固定
 骨折部のずれが大きくない場合や手術が困難な場合に使う

●装具による固定
 鎖骨骨折や肋骨固定などギプス固定が困難な部位に使う
------------------------------

などがあるんですが、患者さんの筋肉の状態や治り具合、生活スタイルに合わせていろいろな選択や組み合わせが大事なんです。
なんでも杓子定規に固定すればいいってわけじゃないってこと。
ということはこれ、なんかMC・ラッパーみたいじゃないですか?



そして

4.後療法=ブレイクダンスとは?

 骨折治療の締め、後療法。つまりリハビリテーション。通常の生活に復帰できるようにトレーニングして筋力を戻し、可動域を回復させる最後の工程。ダンスのようにパーティに花を添える存在でもあり、これがないとパーティが締まらない。つまり、元の日常に戻るようにならない。

 それだけじゃ『後療法=ブレイクダンス』の例えがわからんがな。
っていう人のためにもうちょっとわかりやすく。
体を動かすからリハビリとダンスは似てる。 というわけじゃなくて、
リハビリで患者さんと治療具合や悩みをやりとりして良い関係性を構築していく。
そんなカウンセリング的なことがめちゃめちゃ大事だったりするんです。

 手術でなおしてそれで終了。なんてスムースに行けばいいんですが、そんなわけにはいかない。患者さんは不安でたまらなかったりするわけです。
 だから老若男女、いろんなタイプの患者さんと目線を合わして、ちゃんと話して関係をつくる。
治すだけでなく、患者さんの暮らしと向かい合う。それが素晴らしい日常へとつながる。
ね。これってテレビや映画でみるダンスバトルみたいでしょう?


 というわけで、皆さんに骨折治療に興味を持ってもらうために、今回も(無理やり)ヒップホップで例えてみました。ちょっとでも医療に関して、造詣が深まれば嬉しい限り。

 最初はワケのわからない話を始めたなーなんて思ってたあなたも、
ここまで読んで「あーね」ってくらいにはなったはず。
こうやって例えてみるの、よくなくないですか?

 けが、腰痛、膝の痛み、傷跡、体調不良…、日高病院では骨折以外にもいろいろな診療をしています。
お気軽に来ていただければ、私たちがいろんな例えでわかりやすく説明いたしますよ。



今回のセンセイ
  • 日高 正嗣

    (ヒダカ マサツグ)

    ●福岡大学医学部卒業
    ●福岡大学整形外科学教室出身

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