いや〜それにしても暑い…。暑すぎてどこにクレームをいれたらいいのかなんて考える今日この頃です。
今回はこの暑い中、さらに暑い思いをして治療に頑張ることになった患者さんの話。
「いつもHIPHOPに例えてばかり。毛深いし、暑苦しい」なんて言われてるので、今日は映画に例えて涼しくお伝えいたしますね。。
さて、「暑い思いをする治療」というのはコルセットの話。(コルセットって相当暑いんです)
先日、担当している50歳の患者さんが久しぶりに訪れた理由は、第3腰椎の圧迫骨折。骨密度も高く、まだ圧迫骨折になるのは早い年齢なのですが(圧迫骨折は高齢者に多い)…、そのきっかけは『髄膜炎』で倒れたこと。
そちらの方は4日くらいで完治したそうなのですが、髄膜炎で体が弱ってたんでしょうかね…。
実は以前にも第3腰椎と第4腰椎の間のヘルニアを手術で取ったことがあって…ちょっと不安に思っている。なんて相談されたので、圧迫骨折について安心してもらえるようにお話ししておきました。
圧迫骨折って何かというと、骨が潰れてしまうような状態のことです。特に背骨でよく起こります。転んだり、急に重い物を持ったりしても起こりますし、骨が弱っていると日常的な動作でも起きることがあります。(この患者さんも、髄膜炎にかかった際、弱った骨をうちつけたようでクシャッと潰れていました)
映画に例えると、冒頭で主人公が歩いていると道端で悪そうな人たちにやられてしまうような感じ。でも大丈夫、でも。ここから再び立ち上がれるんでしょ?なんて期待するシーン。ってとこでしょうか。
圧迫骨折の怖いところは、痛すぎて動くのが難しくなること。そして何よりも怖いのは、知らないうちに骨折していることなんです。
特に高齢者や骨粗しょう症の方は、些細な動作や小さな衝撃でたいへんなことになったりします。例えば、くしゃみや、ちょっと重いものを持ち上げただけなのに骨折したり、これまだそんなに痛くないからと放っておくと、今回の患者さんのように大きい背骨をいためてから「骨折だった!」てことになります。
(ちなみにこの患者さんは上半身のあらゆる骨が痛んだ状態で来院しました。そんなに痛くなかったそうです…)
映画でいうと忍び寄る罠。ってとこでしょうか。主人公が何も知らない間に悪だくみが進んでいる感じ。少しずつ違和感を感じながらも事態の大きさには意外と気づかない。なんて映画に似ていますね。
【病院に行く】
なにはともあれ専門の医師にしっかり見てもらうことが大事です。
主人公が伝説の賢者に会いに行ってアドバイスをもらうシーンと考えれば病院も怖くないでしょ?
【安静にする】
痛みがひどいときは横になって、できるだけ動かないようにしましょう。
傷ついた主人公が一旦静かな場所で傷を癒す。そんな感じで、大人しくしておくのが1番です。
【コルセットを使う】
腰の骨折には、コルセットを使うことが多いです。今年みたいな暑さではこたえますが、これが背骨を支え、痛みを和らげてくれます。
映画でも、主人公が新しい武器や防具を装備したりするでしょ?
(コルセットの暑さにはユニクロのエアリズムなどを肌着にしておけば、暑さもやわらぐのでオススメです)
【痛みを和らげる】
痛みが強い場合は、鎮痛剤を使います。医師に相談して、適切な薬を処方してもらいましょう。
そう、魔術で体を癒す戦士のように。
【リハビリをする】
痛みが落ち着いてきたら、理学療法士の先生と一緒に、鍛える運動をして、再発を防ぎます。
映画の主人公だって、もっと強くなるために厳しい修行をしますよね。映画だと「あっという間に〇〇年」なんてスピード再生されたりしますが、リハビリだってあっという間に感じるものです
とはいえ、1番いいのは圧迫骨折にならないこと。
【バランスの良い食事】
大事なのはカルシウムやビタミンD。牛乳・チーズ、魚、緑の野菜がオススメ。日光浴もビタミンDを作るのに良いです。
【適度な運動】
骨密度を保つためにウォーキングや、筋トレなどを習慣にするべし。骨も強くなりますし、筋肉もついて転びにくくなります。
【転ばない工夫を】
家でてすりをつけたり、滑りにくい靴を選びましょう。自分に合った靴を選ぶと運動するのも楽しくなりますしね
【お酒はたしなむ程度に】
1番気をつけてほしいのはこれ!お酒の飲みすぎは骨にかなり影響します。(今回の患者さんも大酒飲みでした)
圧迫骨折ってかなり生活にも支障が出るんですよね。だからこそちょっとでも違和感を感じたら早めに診てもらうこと。それだけで快適な日常に早く戻ることができますよ。
運動・栄養・くらしの工夫。人生のストーリーを輝かせるために、しっかりとシナリオをつくって、元気に日常という舞台に立ちましょう!
…なんて、締め方はきれいすぎましたかね?
(ヒダカ マサツグ)
●福岡大学医学部卒業
●福岡大学整形外科学教室出身